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野中温泉の周辺には、巨大なクリスマスツリーのような針葉樹が見事なまでの森を形成している。これが「北海道の森の王者」と呼ばれるアカエゾマツ。アカエゾマツはその木目の緻密さ、美しさからピアノの響板、バイオリンやギターの表板として使われてきた。
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雌阿寒岳の山麓、野中温泉周辺にアカエゾマツの純林が発達したのは、火山岩礫地で他の植物の生育を拒んでいるから。厳しい土地に雄々しく生きる姿は、まさに「森の王者」の名にふさわしいものがある。
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「北海道の森の王者」と呼ばれるアカエゾマツ。本州では早池峰山の一部にあるだけで、北海道、南千島、サハリン南部にのみ生育する固有種である。仲間のエゾマツが広く大陸まで分布するのに比べれば、不思議なほどに狭い土地にしか生えない木なのだ。札幌にある開拓使が造ったレンガ造りの旧道庁の前で、印象的に並んでいるのもこのアカエゾマツで、実は公共の植栽では針葉樹林の人気ナンバーワンにもなっている。
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トウヒの仲間で、ヨーロッパの幽玄な森を思わせる雰囲気と気品が漂うのも、その美しい樹型のせいでもある。野中温泉を目ざす人の多くは雌阿寒岳登山の人だが、登山道でも野中温泉から3合目あたりまではアカエゾマツの純林が続く。4合目あたりはアカエゾマツとハイマツの混淆林という、雌阿寒らしい変わった光景が展開する。実は、野中温泉周辺のこのアカエゾマツの森は、世界でもっとも貴重な純林となっているのだ。
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「北海道の森の王者」の気品と風格を味わうためにも、野中温泉にぜひとも1泊して野中温泉からオンネトーへと続く、オンネトー自然探勝路(オンネトーまで1.9km)を歩くことをおすすめしたい。
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足下を観察すれば、エゾリスが食べたアカエゾマツの松かさが地面に散乱。そこはエゾリスの食卓! 耳をすませばクマゲラの鳴声を聞くことも。そして森のそこかしこにシカの姿が。こんなに奥深い森を感じるのは北海道でも今や限られる。オンネトーが北海道三大秘湖に数えられたのも、その周囲をアカエゾマツが取り囲み幽玄な雰囲気に満ちあふれていたからにほかならない。
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